モンキー125を手に入れると、誰もが「自分だけの一台」に仕上げたくなる。マフラー、タイヤ、シート……カスタムパーツを眺めている時間は最高に楽しいものだ。
だが、勢いでパーツを替えた後に「やっぱりノーマルが一番だった」と後悔するライダーが後を絶たない。見た目のカッコよさと引き換えに、モンキー最大の魅力である「快適さ」や「トコトコ走る楽しさ」を捨ててしまうケースが多いからだ。

この記事では、定番カスタムに隠された「リアルなデメリット」を忖度なしに挙げていく。
ブロックタイヤの振動や、フェンダーレスの泥跳ね。それらは本当に、あなたのツーリングに必要な代償だろうか。愛車を「乗るのが億劫なバイク」にしないために、一度冷静にチェックしてほしい。
モンキー125のカスタムに「正解」はあるのか?

「モンキーはカスタムしてナンボ」という空気がある。確かに、小さな車体に自分好みのパーツを詰め込んでいくのは、大人の趣味として最高に楽しい。
だが、ここで一度立ち止まって考えてみてほしい。果たして、パーツを付け足すことだけが「正解」なのだろうか。
見た目(盆栽)と実用性のトレードオフを知る

バイクのカスタムには、必ず「トレードオフ(何かを得れば、何かを失う)」という法則がある。
例えば、ゴツゴツしたブロックタイヤ。確かに見た目の迫力は増すが、その代償として走行中の振動と騒音を受け入れることになる。リア周りをスッキリさせるフェンダーレスも同様だ。スタイリッシュにはなるが、雨上がりに背中が泥だらけになるのは避けられない。

「カッコいいから」という理由だけで進めると、いつの間にかツーリングに行くのが億劫なバイクになってしまう。見た目を育てる「盆栽」としての楽しさと、道具としての「使い勝手」。このバランスをどこで取るかが、後悔しないための最大の分岐点だ。
ホンダが作り込んだ「ノーマル」の完成度という基準点

もう一つ忘れてはいけないのが、モンキー125というバイクの「素性の良さ」だ。
あのフカフカのシートや、驚くほど静かなマフラー、そして路面のショックを優しく吸収する足回り。これらはホンダのエンジニアが、膨大な時間と予算をかけて「誰もが楽しく、快適に乗れるように」作り上げた結晶である。
社外パーツに交換するということは、その高度なバランスをあえて崩す行為でもある。ノーマルの完成度という「基準点」を知らずに弄り倒してしまうのは、あまりにももったいない。

実を言うと、私も自分のモンキーには多くの手を加えている。だが、常に意識しているのは「ノーマルの美しい外観を崩さないこと」だ。モンキーが本来持っている愛らしさやバランスを損なってまで得られる性能は、このバイクには必要ないと考えているからだ。
まずはノーマルの良さを徹底的に味わい尽くすこと。自分にとって「変えていい部分」と「守るべき部分」を見極めるのは、それからでも決して遅くはないはずだ。
【外観編】スタイリッシュさと引き換えにする「代償」
カスタムは自己満足の世界だ。だからこそ、デメリットを知った上で「あえて選ぶ」のは正解だが、知らずに選ぶのはただの「失敗」になってしまう。ここでは、私が実際にモンキー125に施しているカスタムを例に、そのリアルな代償を語りたい。
ブロックタイヤへの交換|ワイルドな見た目と引き換えにする「違和感」

私のモンキーは今、ブロックタイヤを履いている。キャンプ場や未舗装路を走るのがメインの楽しみ方だから、この選択には納得している。だが、正直に言おう。交換した当初、オンロードを走った瞬間の「違和感」は結構感じた。
アスファルトの上では、独特の振動と「ゴー」というロードノイズが常に体に伝わってくる。もしあなたが、街乗りや綺麗なワインディングを走るのがメインなら、「変えなきゃよかった」と後悔する可能性が極めて高い。
「趣味のバイクだから見た目が良ければ全てよし」と割り切れるか。それとも快適に距離を伸ばしたいか。そこを曖昧にしたまま、ノリで交換するのはおすすめしない。
フェンダーレスキット|スッキリしたリア周りと引き換えにする「泥の洗礼」

リア周りをスッキリさせたくて、私もフェンダーレスキットを組んでいる。装着する際、もちろん「泥跳ねは増えるだろうな」という予測はしていた。だが、実体験として突きつけられた現実は、想像を超えていた。
ある時、キャンプ場に向かった際のことだ。天気は晴れ。雨の心配はないと踏んでいたが、山の道やキャンプ地というのは、雨が降っていなくてもどこかしらがぬかるんでいるものだ。
「これくらいなら大丈夫だろう」と水たまりを通過した結果、ふと気づけば背中までドロドロの洗礼を受けていた。見落としがちなのは、フェンダーレスにすると「自分」だけでなく「シートバッグや荷物」まで容赦なく汚れるという点だ。
今の私は「これもモンキーとの思い出」と割り切っているが、常に愛車と自分の装備をピカピカに保ちたい人にとって、フェンダーレスはなかなかに過酷な選択になるだろう。
【乗り心地編】長距離ツーリングで差が出る「疲労度」
モンキー125は、その見た目に反して「長距離を走れてしまう」バイクだ。その秘密は、ゆったりとしたポジションと、原付二種とは思えないほど豪華なシートにある。ここを弄る際は、最も慎重になるべきだ。
シート交換|あえて私が「ノーマル」を貫く理由

世の中には、ダイヤステッチやタックロールなど、見た目が抜群にカッコいい社外シートが溢れている。正直に言えば、私も何度も「交換してしまおうか」と誘惑に駆られた。
それでも私がノーマルシートを使い続けているのは、この「ふかふかの座り心地」が、モンキーの魂だと思っているからだ。

実際、シートを交換した知人たちの多くは「見た目は最高だけど、1時間も走ればお尻が痛い」「結局ノーマルの良さに気づいた」と口を揃える。もちろん、足つきを改善したいという切実な理由で交換する人もいるだろう。それは一つの正解だ。
だが、もしあなたが「見た目だけ」でシートを替えようとしているなら、ホンダが用意してくれたこの極上のクッションを捨てる覚悟があるか、今一度自分に問いかけてみてほしい。
リアサスペンションの交換|キビキビした走りと引き換えにする「ゆったり感」

サスペンションについては、私はノーマルから社外品(硬めのセッティング)へ交換している。私の場合は、段差での「底突き」が気になったのが理由だ。
交換した結果、走りは劇的に変わった。カーブでの踏ん張りが効き、操作に対してバイクがキビキビと反応してくれる。走る楽しさは間違いなく向上したと言える。

しかし、代償も確実にあった。ノーマルサスが持っていた、あの「路面の凸凹をいなしてくれる、ふわふわとした独特の乗り味」は失われてしまった。
最近では車高を下げる「ローダウンサス」を検討する人も増えているようだが、車高を下げればそれだけサスのストローク量(動く幅)も減り、乗り味はさらに硬くなる。キビキビ走る「スポーツ性能」を取るか、どこまでも優しく包んでくれる「快適性」を取るか。これはモンキー乗りにとって、非常に贅沢で悩ましい選択だ。
【排気・吸気編】なぜ「結局ノーマルマフラー」に戻る人が多いのか?
バイクカスタムの華といえば、マフラー交換だ。見た目がガラリと変わり、単気筒らしい歯切れの良いサウンドが手に入る。しかし、実はカスタムを進めたライダーが、最後に行き着くのが「ノーマルマフラーへの回帰」だったりする。
社外マフラーの音量問題|迫力あるサウンドと引き換えにする「耳の疲れ」

社外マフラーに変えると、走り出しの瞬間はテンションが上がる。だが、そのまま2時間、3時間と走り続けてみてほしい。
ヘルメットの中にこもる大きな排気音は、想像以上に脳と耳を疲れさせる。特に50代を過ぎてからのロングツーリングでは、この「音による疲労」が翌日の疲れに直結する。また、住宅街での暖気に気を使うようになり、結局バイクを出すのが億劫になっては本末転倒だ。
純正マフラーの「トコトコ」という静かな音は、実は長距離をどこまでも走り続けるために計算された、ライダーへの優しさでもある。x
【体験談】ハンターカブ気づいた、ホンダ純正の「調律」

ここで少し私の話をしたい。私はモンキー125の次にハンターカブ(CT125)を購入したのだが、そこで驚いたことがある。「ノーマルマフラーの音が、あまりに心地よくて交換する気が起きない」のだ。
モンキーに乗っていた頃は「もっと迫力が欲しい」などと考えていたが、ハンターカブの純正マフラーが奏でる、静かながらも芯のある排気音を聴いて、自分の考えが浅かったと思い知らされた。

ホンダがこの手のレジャーバイクに与えるマフラーは、ただ音を消しているのではない。ライダーに不快感を与えず、かつ「走っている実感」をしっかり伝えてくれる、プロによる高度な「調律」が施されているのだ。モンキーのマフラーも、改めて聞き直してみれば、実に見事なバランスで作られていることに気づかされるはずだ。
パワーフィルター化|吸気効率の向上と引き換えにする「エンジンの寿命」

マフラー交換とセットで語られることが多いのが、エアクリーナーを社外品やパワーフィルターへ変更するカスタムだ。私も「SP武川パワーフィルター」に交換している一人だが、このパーツはファンの間でもかなり賛否が分かれている。
ネット上では「出力が上がった」「パワフルになった」という景気の良い声も目にするが、正直に言えば、私自身はそれほど劇的な変化を体感できていない。むしろ、吸気音が大きくなることで「速くなった気がする」という感覚的な部分が大きいのではないだろうか。
注意してほしいのは、パワーフィルターは純正フィルターに比べて「空気を吸い込む量」を増やすために、目の粗い素材を使っている点だ。これは、微細な砂塵などがエンジンに入り込むリスクを高め、長期的に見ればエンジン内部にダメージを与える可能性があることを意味する。
「少しでもパワーを絞り出したい」というレース志向ならまだしも、街乗りやツーリングで長く、大切にモンキーを乗りたい人にとっては、果たしてリスクに見合うほどの効果があるのか。ホンダが「異物を徹底的にシャットアウトする」ために設計した純正ボックスの安心感を捨てるには、それなりの覚悟が必要だろう。
後悔を防ぐ!カスタム前にチェックすべき3つのポイント
ここまでデメリットを中心に語ってきたが、カスタムそのものを否定するつもりはない。大切なのは「勢い」だけで進めないことだ。後悔の確率を下げるために、以下の3点は心に留めておいてほしい。
自分の「メインの用途」を言語化する

あなたがモンキーで一番やりたいことは何か。近所のカフェまでのお洒落な散歩か、それとも1泊2日のキャンプツーリングか。
見た目重視のカスタムは、短距離なら「個性」として楽しめるが、長距離になればなるほど「苦痛」へと変わる。自分の走行スタイルの8割がどこにあるのかを冷静に見極めれば、自ずと選ぶべきパーツは見えてくるはずだ。
純正パーツを「絶対に」捨てずに保管しておくべき理由

これが最も伝えたいことだが、外した純正パーツは必ず手元に残しておいてほしい。
実は今、メルカリなどのフリマアプリでは、モンキー125の純正パーツが驚くほど活発に取引されている。これは何を意味するか。カスタムしたものの、結局乗り心地や騒音に耐えきれず「ノーマルに戻したい」と切望しているライダーがそれだけ多いということだ。
いざ戻そうと思った時に、純正パーツを捨ててしまっていれば、高い金を払って買い直す羽目になる。純正品は、いわば「いつでも快適なモンキーに戻れる安心の切符」なのだ。
まとめ|モンキー125を「自分仕様」にするための本当の第一歩

ここまで、定番カスタムに潜む「後悔の種」をいくつか紹介してきた。少し厳しい言い方をしたかもしれないが、それは私自身がモンキー125を愛し、カスタムの失敗も成功も経験してきたからこその本音だ。
モンキーを「自分だけの一台」に仕上げるための本当の第一歩は、パーツを注文することではない。
焦らず、まずは「ノーマル」を使い倒すこと

もしあなたが納車直後なら、まずは1,000km、できればロングツーリングも含めてノーマルのまま走り込んでみてほしい。ホンダがこの小さな車体に込めた「扱いやすさ」や「乗り心地の良さ」を体に染み込ませるのだ。
その上で、「どうしてもここが不満だ」「もっとこうしたい」という切実な声が自分の中から聞こえてきた時こそが、カスタムのベストタイミングである。
「不便」を楽しむか、「快適」を磨くか

カスタムに唯一の正解はない。 泥にまみれてもワイルドな外見を愛でるのも一つの道だし、ノーマルの快適さをどこまでも磨き上げて、日本一周できるようなツアラーに仕立てるのも一つの道だ。
大切なのは、ネットの流行や「みんながやっているから」という理由で、モンキーの美点を壊してしまわないこと。
5年間でたどり着いた、私が「変えて良かった」と思えるパーツたち

誤解しないでほしいが、私はカスタムそのものを否定しているわけではない。むしろ、自分に合ったパーツを見つけた時の喜びは、何物にも代えがたい。
私自身、モンキー125と過ごしてきた5年間の中で、数々の失敗を繰り返してきた。その試行錯誤の末に、「これは快適さを損なわず、走りをより豊かにしてくれた」と心から確信できたパーツがいくつかある。
見た目だけで選んで後悔する前に、一つの「基準」として私の経験を役立ててほしい。私が5年かけて厳選した、本当におすすめできるカスタムパーツは、こちらの記事にすべてまとめている。






