サッカーは、撮ろうとすると急に難しくなる競技です。ピッチが広く、選手は絶えず動き、ボールは一瞬で逆サイドへ飛びます。カメラを構えていた場所と、実際に見せ場が生まれた場所が違う。撮ったあとにそう気づくことの多い競技だと思います。
この記事では、サッカーの試合と練習をどう記録するかを、撮り方の種類から整理します。特に、ピッチ全体を丸ごと残しておくという方法について詳しく扱います。すでにチーム単位では使われている考え方で、個人でも同じことができるところまで機材が下りてきています。
サッカー撮影では何を残したいかを考える

先に決めておきたいのは、映像を何に使うかです。ここが曖昧なまま機材を選ぶと、たいてい後悔します。
| 残したいもの | 必要になること |
|---|---|
| 特定の選手のプレー | その選手を画面に入れ続ける・望遠で大きく写す |
| ゴールシーンなどの見せ場 | ボールのある場所を追い続ける |
| チームの戦術・形 | ボールのない場所を含めて全体が入っている |
| 試合の記録そのもの | 前半から後半まで途切れず撮れている |
上の2つと下の2つは、必要な機材がまったく違います。上を狙うなら望遠と追尾、下を狙うなら画角と設置場所の話になります。両方を1台でやろうとすると、どちらも中途半端になります。
スマホや通常のカメラでサッカーを撮影する場合

まず、いま手元にあるもので撮る場合の限界を整理しておきます。できないことがわかると、何を買い足すべきかが決まります。
- 距離が足りない:タッチライン際から反対サイドまでは相当な距離があります。スマホの標準画角では、選手が豆粒になります
- 撮り続けられない:前後半で90分。手持ちで追い続けるのは体力的にも、バッテリー的にも厳しい
- 逆サイドが消える:カメラを向けていた方向しか残らないので、ボールと逆側で何が起きていたかは後から確認できません
- 撮影者が試合を見られない:ファインダー越しに追いかけていると、自分は試合を観戦できていない
最後の項目は、意外と見落とされます。子どもの試合を撮っている保護者が、撮影に集中して肝心の場面を肉眼で見ていなかった、というのはよくある話です。
サッカーを360°カメラで撮影する方法

ここで発想を変えます。カメラを選手に向け続けるのをやめて、ピッチ全体を丸ごと記録してしまうという方法です。
360°カメラは全方向を同時に記録します。撮影中に構図を作らない代わりに、映像を見るときに好きな方向を選べます。前半のあの場面で右サイドバックがどこにいたか、セットプレーの直前に誰がどう動いたか。撮影時に狙っていなくても、映っていれば後から確認できます。
ただし条件があります。地面の近くに置いても意味がありません。手前の選手が奥を隠してしまい、全体が見えないからです。この撮り方は、カメラを高い位置に上げて初めて成立します。
実際に少年サッカーを360°カメラで俯瞰撮影したサンプル映像があります。ピッチ全体がどう写るのか、選手の位置関係がどこまで確認できるのかは、説明を読むより見てもらったほうが早いと思います。
使われているのはInsta360 X3で、この記事で挙げているX5・X6より前の世代です。それでも、高い位置から全体を記録して後から見返すという撮り方が何を残してくれるのかは、この映像で十分に伝わると思います。
高い位置に360°カメラを設置する

高さを稼ぐ方法は主に2つです。高所撮影用の長いポールを立てるか、観客席など元から高さのある場所を使うかです。
置く位置は、タッチラインの外側でハーフウェーライン付近が基準になります。どちらかのゴール寄りに置くと、反対側のペナルティエリアが遠くなりすぎて、切り出したときに何が起きているのかわからなくなります。
設置の前に必ず確認すること
- そのグラウンド・その大会で、機材の設置が認められているか
- ポールが倒れても人に当たらない場所か。タッチライン際は選手と副審が全力で走る場所です
- 屋外は風が吹きます。ロープと重りでの固定を省略しない
- ベンチや本部席の視界をふさいでいないか
この記事は設置方法を説明していますが、どこにでも自由に立てていいという意味ではありません。可否は必ず主催者と施設に確認してください。
サッカー向けの撮影・分析システム「Veo」
「ピッチ全体を1台で記録して、後から必要な場面を取り出す」というやり方は、思いつきではありません。すでに製品として成立しています。代表例がVeoです。
Veoはチームスポーツ向けのAI搭載カメラで、ピッチの脇に固定して設置します。撮影中に人が操作する必要はなく、1台で試合全体を記録します。撮影後はAIがゴールやファウルなどの場面に自動でタグを付け、専用のエディターで分析やハイライト作成ができます。日本でも導入しているサッカークラブがあります。
ひとつ正確に書いておきます。Veoは全天球を撮る360°カメラではありません。公式の説明では180度を超える超広角の映像を記録する仕組みで、その広い画角の中からAIがプレーを追って切り出しています。
ただ、考え方はこの記事で扱っているものと同じです。撮影中はカメラを人に向けない。広く記録しておいて、あとから必要な部分を取り出す。Veoは、この方式がチーム運用として成り立つことを示している実例です。
導入の形も知っておいて損はありません。Veoはカメラ本体と年間契約のプランを組み合わせて使う仕組みで、個人が思いつきで買う機材ではありません。チームや団体で継続的に分析する体制があるなら選択肢に入り、そうでないなら過剰、というのが現実的な線引きだと思います。
Bi Rodを使った高所撮影という方法

高い位置にカメラを上げる手段として、専用のポールがあります。ルミカが製造しているBi Rodはその代表的な製品です。カーボン製で、長いモデルは7.5mまで伸びます。
もともとは建物の点検やドローンを飛ばせない場所での撮影に使われてきた機材ですが、公式ブログにはサッカー撮影での使用例が載っています。そこでは前述のVeo(約1kg)と「6C-7500 V2+専用三脚セット」を組み合わせ、約7mの高さまで上げています。
公式に記載されている使用条件
- 耐荷重は1.5kg以下。ただし先端の1段目を収納した状態での使用に限られる
- ロッドに印刷された銀色のラインを超えて伸ばさない
- ロープを注水タンクなどの重りに取り付けて固定する
- ロッドが地面に対して垂直になるよう調整する
耐荷重1.5kgは、200g前後の360°カメラから見れば余裕があります。むしろ効いてくるのは伸ばしていい長さの上限と、固定の確実さのほうです。7.5mのポールが倒れる状況を、サッカーコートの脇で作ってはいけません。
なお、Bi Rodの公式ブログにある「高所撮影におすすめのカメラ」という記事で、360°カメラとして名前が挙がっているのはRICOH THETAです。Bi Rodが特定の360°カメラでのサッカー撮影を推奨している、とは書けません。ここでは「長いポールでカメラを高所に上げる」という手段が実在し、公式に安全な使い方が示されている、という事実として紹介しています。
このポール自体については、当サイトで実際に使ったレビューを別記事にしています。伸ばしたときの見え方、設置の手間、撮れる映像の印象までまとめているので、導入を考えるならBi Rodのレビュー記事を先に見てもらうのが早いと思います。
360°カメラでサッカーを撮影するメリット

- ピッチ全体が残る:ボールから離れた場所の動き出しやポジショニングが記録される
- 後から視点を選べる:同じ試合を、別の選手を主役にして何度でも見返せる
- 撮影担当が要らない:設置してしまえば、保護者もコーチも試合を肉眼で見ていられる
- 練習の振り返りに使える:セットプレーやビルドアップの形を、口頭ではなく映像で共有できる
逆に、割り切る必要がある点もあります。
- 全方向に画素を分けているので、遠くの選手を大きく切り出すと粗くなる。表情が写るような映像にはなりません
- 撮ったままでは見られず、方向を選んで書き出す作業がいる
- 90分ぶんの8K素材は容量を食う。保存先を先に考えておく
サッカー撮影に使える360°カメラ

屋外のサッカー撮影という条件で、Insta360のXシリーズを3機種見ていきます。判断の分かれ目は、試合1本を通しで撮れるかどうかです。
Insta360 X6
2026年8月12日発売の上位モデルで、118,000円(標準版)。1/1.1インチ相当のセンサーを2つ搭載し、8K50fpsで記録できます。バッテリーは2600mAhで、8K30fps時に最大約140分。防水は20mです。
ハーフタイムを挟む前後半を1本のバッテリーで通す、という運用が現実的に組める機種です。屋外なら雨の心配もしなくていい。
- 8K30fpsで約140分。試合1本を通しで撮れる時間がある
- 8K50fpsで撮れば、切り出した映像でも走る選手が破綻しにくい
- 防水20m。雨天の屋外グラウンドでも撮り続けられる
- 内蔵ストレージ約47GBがあるので、カード忘れで撮れないという事故が起きにくい
- 118,000円。試合の記録用と割り切るには高い
- 8K50fpsの素材は編集するパソコンを選ぶ
価格:118,000円(標準版)/重量:約196g/防水:20m
Insta360 X5
ひとつ前の世代で、公式ストア価格は84,800円。1/1.28インチのセンサーを2つ積み、8K30fps・5.7K60fpsに対応します。防水15m、重量は約200gです。
「ピッチ全体が残っていればいい」という目的なら、8K30fpsで足ります。X6との差額をポールや保存用ストレージに回すという考え方は、十分に合理的です。
- 全体記録が目的なら8K30fpsで必要十分
- 浮いた3万円強を、高所撮影用のポールや予備バッテリーに回せる
- レンズ交換に対応。屋外で傷つけても本体ごと買い替えずに済む
- 切り出したときの解像感はX6が上
- 内蔵ストレージがないので、microSDカードは必須
公式ストア価格:84,800円/重量:約200g/防水:15m
Insta360 X4 Air
2025年10月発売の軽量モデルで、56,900円(標準バンドル)から。165gと軽く、8K30fpsに対応します。防水15m。バッテリーは2010mAhで、8K30fps時の連続撮影は最大約88分です。
165gという軽さは、ポールの先端に付けて7m近くまで上げる撮り方でそのまま効きます。まず360°での全体記録を試したい人向け。
- 165g。高所に上げたときの安定に効く
- 56,900円から。まず試すハードルが低い
- レンズは交換可能
- 8K30fpsでの連続撮影が最大約88分。前後半を通しで撮るならバッテリー交換が前提になります
- 夕方以降のナイター照明下では、X5・X6より条件が厳しい
価格:56,900円(標準バンドル)/重量:165g/防水:15m
当サイト限定 Insta360公式ストア特典キャンペーン実施中!
Insta360公式のご協力のもと、下記限定リンクからのご購入で、この記事限定の特典をプレゼントしています。
| モデル | 限定特典 | 通常価格 | 特典リンク |
![]() Insta360 X6 | X6レンズ交換キット(ダブルレンズ) 5,800円相当 ※在庫により変動・カート画面で確認 | 118,000円 ※セール対象外 | 購入する |
![]() Insta360 X5 | ![]() 8,000円相当 ※一時的に在庫切れ | 76,300円 セール価格(〜9/6) | 購入する |
![]() Insta360 X4 Air | ![]() X4 Air バッテリー 6,800円相当 | 48,400円 セール価格(〜9/6) | 購入する |
![]() Insta360 Ace Pro 2 | ![]() Ace Pro2バッテリー 6,000円相当 | 53,700円 セール価格(〜9/6) | 購入する |
![]() Insta360 GO Ultra | ![]() バイク撮影キット 7,800円相当 | 58,300円 セール価格(〜9/6) | 購入する |
![]() Insta360 GO 3S | 3,600円相当 | 47,600円 セール価格(〜9/6) | 購入する |
![]() Insta360 Luna Ultra | 限定特典なし(7/27時点) ※最新の特典・セール情報は公式ページをご確認ください。 | 119,800円 | 購入する |
(早期終了、特典内容の変更の可能性があります)


【Smile Sale開催中:2026年8月28日〜9月6日】上記のセール価格は期間中の公式ストア価格です(X6は対象外)。各特典は在庫状況により変動します(品切れ・復活の場合があります)。付与の有無は購入前にカート画面でご確認ください。
(カート画面に特典が表示されていれば適用されています)
選手を追いながら撮るならジンバルカメラ

ここまでは全体記録の話でした。「うちの子だけを大きく撮りたい」という目的なら、まったく別の機材になります。
Insta360 Luna Ultra
2026年6月発売のジンバルカメラで、日本価格は119,800円から。1インチと1/1.3インチ望遠の2眼構成で、3軸ジンバルとAIによる被写体追跡を備えます。レンズはライカとの共同開発です。
サッカーで効くのは望遠側です。タッチラインの外から反対サイドの選手を狙うような場面で、360°カメラでは絶対に届かない大きさで写せます。AI追跡があるので、撮影者がずっと構図を作り続けなくても済みます。
- 撮っている最中に画面の外で起きたことは残りません。全体記録とは両立しない
- 119,800円からと高価
- 誰かがカメラを持って操作し続けることになる
Luna Ultraは向き不向きがはっきりしている機種です。向いていない人を先にまとめた記事を読んでから判断することをすすめます。
選手目線で撮るならGOシリーズ

3つめの撮り方が、選手本人がカメラを身につけるやり方です。Insta360 GO Ultraはカメラ部分が53gで、マグネットで装着して4K60fpsを撮ります。価格は64,800円です。
練習で使うと、外から撮った映像では見えない情報が残ります。ボールを受ける前に首を振れているか、体の向きがどこを向いているか。本人の視線に近い高さから記録されるので、指摘が伝わりやすくなります。
ただし、試合で使う前に必ず確認してください。サッカーは接触のある競技で、身につけた機材が他の選手に当たる可能性があります。競技規則や大会の規定で認められているかどうかは、装着を試す前に調べるべき事項です。練習での使用にとどめるのが無難だと思います。
価格:64,800円/カメラ重量:53g/カメラ本体はIPX8・10m(アクションポッドはIPX4の防滴)
選手目線でサッカーを撮るとどんな画になるのかは、作例を見るのが早いです。下はInsta360の日本公式アカウントが投稿した、GO Ultraでのサッカー撮影例です。
子どものサッカー撮影ならどの方法がいい?

少年サッカーの場合、保護者が撮る目的は「うちの子を残したい」と「試合を残したい」が混ざっていることが多いと思います。この2つは機材が違うので、どちらを優先するかで答えが変わります。
| やりたいこと | 向いている方法 |
|---|---|
| うちの子を大きく残したい | 望遠が使えるカメラで追う |
| 試合そのものを残したい | 360°カメラで全体を記録 |
| 撮影中も自分の目で試合を見たい | 360°カメラで設置して置いておく |
| チーム全体で振り返りに使いたい | 360°カメラ、または分析システム |
撮影ルールの確認や、他の子どもが映り込むことへの配慮など、子どもの試合ならではの論点もあります。そちらは子どものスポーツ撮影の記事にまとめました。
サッカー撮影で注意すること
- 撮影許可:グラウンド、大会主催者、所属クラブでルールが別々です。3つとも確認する
- 設置位置:タッチライン際は選手と副審が全力で走ります。機材はその外側へ
- 風:屋外は風が吹きます。長いポールほど固定を厳重に
- ボール:ゴール裏やコーナー付近は当たる前提で考える
- バッテリーと容量:90分は長い。予備バッテリーとカードの空きを事前に確認
- 映り込み:相手チームの子どもや保護者も映ります。SNSに上げる範囲は慎重に
よくある質問
Q. 360°カメラでサッカーを撮ると、選手の顔は判別できますか?
A. 高い位置から全体を撮った映像を切り出す使い方では、表情まで写るような映像にはなりません。誰がどこにいたか、どう動いたかを確認する用途だと考えてください。
Q. カメラはどのくらいの高さまで上げればいいですか?
A. 高いほど選手の重なりが減ります。Bi Rod公式のVeo事例では約7mまで上げています。ただし高くするほど固定は重要になるので、伸ばす長さは機材の指定範囲を守ってください。
Q. Veoと360°カメラはどちらがいいですか?
A. 目的が違います。Veoはチームの分析を継続的に行う体制がある場合の選択肢で、年間契約を含めた導入になります。個人が試合の記録を残したいだけなら、360°カメラのほうが現実的です。
Q. 前後半を通しで撮れますか?
A. 機種によります。X6は8K30fpsで最大約140分、X4 Airは同条件で最大約88分です。X4 Airで通しを狙うなら、ハーフタイムでのバッテリー交換を前提にしてください。
Q. 買う前に試せますか?
A. レンタルで先に試す方法をまとめています。360°での全体記録が自分の用途に合うかは、1試合借りて撮ってみればだいたいわかります。
まとめ
サッカー撮影が難しいのは、ピッチが広いからです。追いかけて撮ろうとすれば距離に負け、全部を撮ろうとすれば1台では収まらない。その矛盾を、全方向を記録して後から選ぶという方法が解いてくれます。
- 試合全体を残す → 360°カメラを高い位置に設置(X6・X5・X4 Air)
- 特定の選手を大きく撮る → 望遠のあるジンバルカメラ(Luna Ultra)
- 選手目線を残す → ウェアラブルカメラ(GO Ultra、まずは練習で)
設置の可否と安全の確認だけは、機材選びより先に済ませてください。









